政権交代した機会にネトウヨは攻撃目標を民主党から官僚組織に替えるべき

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1 はじめに

 ネトウヨは今回の衆議院選挙に
 大いに不満を持っているだろう。
 だが違う。
 日本のことを考えるならば、
 政権交代は絶対に必要なものである。
 
 日本は現在、国内外ともに
 危機的状況にある。
 その一端として
 少子高齢による国力の低下や、
 仕事に過剰に拘束される苛酷な労働環境
 などとして浮上している。
 
 こうなっている原因は官僚主義にあり、
 民主党など「それに比べれば」
 どうでもいいのである。
 官僚の支配を脱してこそ、
 真に誇りを持てる国になるのだ。

2 ネトウヨは情弱である

 国家主義者であるネトウヨたちは、
 自分たちを愛国者だと思っているだろう。
 たしかに、ある一面ではそうかもしれない。
 しかし、それは日本の根底にある
 重大な問題が見えていない状態になっている。
 それが見えていては、
 自民党を応援し民主党を非難していた
 筈がないからである。
 いわゆる「情弱」である。
 繰り返し述べよう。
 ネトウヨは「情弱」である。

3 政策よりも深いレベル、現実の国家制度に目を向けるべき

 私もネトウヨと呼ばれたことは何度となくあり、
 ネトウヨ民主党に反発するのはよくわかる。
 彼らの政策が頼りなく映るというのも
 (様々な意見が生じるだろうが)理解できる。
 だが、真に問題とするべきは、
 そうした政策などという
 簡単に目に見えるようなレベルではない。
 そこで立ち止まってしまう者も、
 愛国者などとは呼べないのだ。
 国家の枠組み、国家の主権といった
 より深いレベルに目を向けなくてはならない。
 
 現在日本の主権を持っているのは国民ではない。
 官僚組織である。
 これを糾すことこそが、真の愛国者の務めなのだ。

4 官僚組織による独裁国家、日本

 これまで自民党が政権を
 追い出されたことはなかった。
 つまり、独裁政権が敷かれていたに等しい。
 確かに、他の政治家がだらしなく、
 与党として信用できるのが
 自民党(とその連立相手)だけだった、
 という反論はあるだろう。
 もっともな意見だ。
 だが、政権が変わることが
 ほとんどなかったのは事実である
 だが、そこで独裁を行っていたのは
 自民党ではなく、官僚組織である。
 内閣など、すぐ首がすげ変わるだけの
 スケープゴートに過ぎず、
 官僚組織こそが日本を牛耳ってきたのだ。
 これは決して誇張ではない。
 
 日本は官僚組織による独裁国家であり、
 主権は国民の手にはない。
 国民が政治に関与することは、
 他先進国家とは比較にならないほど
 非常に厳しく難しい。

5 官僚の支配力は一国民にまで及んでいる

 官僚組織が影響力を及ぼせるのは
 政治に対してだけはない。
 検察、裁判所といった司法の場はもちろん、
 産業団体や銀行の経営者をも仲間にし
 産業界や金融機関など民間にも
 積極的に関与しているのだ。
 
 彼らはそうすることによって
 経済大国という形で
 日本に世界的覇権をもたらそうとした。
 労働者を犠牲にしながら。
 その結果、
 あまりにも強く仕事に拘束し、
 国民の生活における自由度を
 著しく低下させた。
 
 官僚組織やその仲間により
 労働者は辛酸を
 舐めさせられているのだ。
 GDPが何だというのか。
 そんなものが上がったからといって
 国民が幸せになれるのか?
 日本よりGDPが下の国々が
 そんなに不幸に見えるのか?
 バブルは所詮まやかしであり、
 経済的発展を求められるあまりに
 生活を不当に制限されているのだ。
 
 この苦難の原因は政治家ではない。
 官僚組織なのだ。

6 官僚主義の打破には政権交代が必要だった

 こうした絶大な権力を
 誇ってきた官僚組織であるが
 予算が通らなければ何もできない。
 その予算の決定に重要な役割を果たすのが
 族議員たる自民党議員である。
 実際の政治に与える影響はさておいて、
 対外的には彼らは力を持っていたので
 彼らのために予算を通す力になっていた。
 
 このように自民党と官僚は
 強い繋がりを持っており、
 自民党が与党のままでは
 官僚組織から権力を奪うのは
 絶対に不可能であるのだ。
 少し調べれば、
 政府による施政が如何に
 官僚に依存していたか
 すぐに分かるだろう。
 少なくともその点において
 自民党は正常な政府は作れなかった。
 
 そのため、如何に
 民主党の掲げる政策が怪しかろうと
 政権交代をしなければならなかったのだ。
 極論を言えば、自民党(と公明党)以外なら
 国民新党でも、社民党でも、共産党でも、
 幸福実現党でもどこでもよかったのだ。
 
 官僚組織を権力の座から
 引きずり落とすためなら
 政策の違いなど些細なことなのである。
 これからも政権が交代されるようになれば
 各政党は切磋琢磨されるので、
 自然と政策はまともな物になっていく筈だ。

7 政治の腐敗を非難することで思考停止してはならない

 では、そうした官僚組織の実態が
 知られていないままであるのは何故か。
 それは政治家の腐敗が原因である。
 建前上、政治家は
 国政のために国民が選んだ者である。
 なので、彼らがだらしなければ
 国民の怒りを買うのも当然である。
 しかも、そうした事態の発生が
 珍しくもないことから、
 そこにしか目が行かなくなっているのだ。
 
 そうして政治家に不満が募り
 政治が悪いのは政治家のせい、
 と国民は認識してしまう。
 実際に国政を支配している官僚組織が
 その裏に隠れているとも知らずに。
 愚かにも大臣に向けられる政策批判は、
 本来それを作った官僚に向けられるべきだ。
 
 そうして政治家の腐敗の裏に隠れてきた
 官僚組織であるが、
 自らの腐敗が明るみに出たことが発端で
 その独裁に終わりを迎えることに
 なるかもしれないとは(まだ断言できない)、
 なんともマヌケな話である。

8 官僚を変革することも必要

 これまで官僚組織として攻撃してきたが、
 官僚は国にとって必要な存在である。
 決してぞんざいに扱っていいものではない。
 彼らは国家公務員試験
 通過してきた優秀な人材である。
 わざわざ難関を潜り抜けて
 官僚となることを目指した
 彼らが国のために働こうと
 しているのは間違いない。
 ただ、それが適切な方向ではないのだ。
 
 彼らにしてみれば、
 これまで動きを操ってきた日本が
 自らの手を離れるとなると
 非常に不安になるだろう。
 国民から主権が離れていた期間が長いので
 過渡期は大きな混乱が生じるかもしれない。
 しかし、日本を健全な国家とするためには
 主権の移譲は絶対に必要なことだ。
 
 繰り返すが彼らは優秀であるし、
 自分らは国のために働いていると思っている。
 世間で批判されているのも
 制度上の問題もあるかもしれない。
 例えば天下りと呼ばれる現象は、
 あまりに過酷な
 ピラミッド型のポスト構造にも
 原因があるだろう。
 あまりにもしがらみが強く、
 これを変えるというのは
 官僚だけでは不可能だろう。
 
 彼らが失職に心配せずに
 働ける環境が整えば、
 彼らはより真剣に勤めを果たすだろう。
 
 確かに官僚組織による支配は
 脱しなければならないが
 国を治めるには役人として
 彼らの力が必要なのは事実だ。
 官僚組織をフルボッコするだけで
 満足して終わるのではなく、
 彼らが真に国益に貢献できるような
 仕組み作りもまた必要である。

9 情報を仕入れる

 情報がなくてはどうしようもない、
 ネトウヨはそれが
 よくわかっているだろう。
 現在における政治がどうなっているのか、
 簡単にではあるが取っ掛かりを示してみる。

9-1

 カレル・ヴァン・ウォルフレン著『人間を幸福にしない日本というシステム』(1994)毎日新聞社
 

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Karel Van Wolferen

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 15年も昔に書かれた本だが、
 東大の教師が選ぶ100冊に選ばれていただけあり、
 非常によくできている。
 というより、
 本エントリはこの本に触発されて
 書かれた物に過ぎない。
 是非一読されたし。
 買う余裕がなくても
 この本ならば
 図書館には置いてあるだろう。
 
 この本では、
 「政治に翻弄される現状に対して
 公然と異議を唱えられる」という
 行動的な市民(国民と同義ではない)こそが
 官僚主義からの脱却を可能とする、
 と論じられている。
 現在そうした変化は
 極めて小さいにもかかわらず、
 官僚組織の金銭的腐敗が露見しただけなので
 現状がよい方向に変化するかはわからない。
 このまま国民は何も気付かないまま
 また同じ道を進んでしまうかもしれない。

9-2

 そのため、これから力になるのは
 国民主権を取り戻したいと願う人々だ。
 インターネットの発達により、
 この本が書かれた当時よりは各段に、
 市民になることが容易になった。
 ネトウヨ愛国者たりたいと思うならば、
 官僚組織をこそ攻撃すべきである。
 これまでネトウヨ
 いわゆる「売国」と呼ばれる
 集団に対して驚くほどの
 情報収集能力を発揮してきたのだ。
 その能力を官僚組織に対して
 振り向けることは、
 十分に可能なはずだ。
 
 大アクセス数を持つような
 大手ニュースサイトなどは
 あまりそうした情報を収集できていない。
 そうした点では貴重な
 こちらのサイトを見て
 「自分で」よく考えてほしい。
 誠天調書
 取捨選択を行うのは、自分自身だ。

9-3

 その上で民主党を叩くことは自由だ。
 というよりも、このまま民主党政権
 延々と続くようになっては、
 自民党時代と同じ結果を生んでしまう。
 どの選挙でも政権交代が発生しうる
 という状況まで日本を変えていかなくてはならない。
 そうすることによって、
 各政党がより優秀な人材を
 探し出してくるであろうからだ。
 こちらのブログのこのエントリが
 大いに参考になるだろう。
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 管理人さんが政治学という、
 日本が劣っている分野において
 英国で博士号を取ったという優秀な人物らしく
 他の様々なエントリにおいても
 その着眼点からは大いに学ぶものがあるだろう。
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10 おわりに

 ツッコミは大歓迎。
 
 以上で前振りは終了。
 では次のネタエントリをヨロシク!