学校教育で世界史が嫌いになったあなたへ
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いやぁ、学校教育の世界史は苦痛でしたね(挨拶)
ところでFor the Gloryというゲームがありまして。
元々はEuropa Universalis 2というゲームだったけど
これがもう楽しくてですね。たった20ドルなのに面白すぎる。
生粋の理系で世界史なんか好きじゃなかったけどこれは違った。
1419-1819年という大航海時代や宗教改革、市民革命など西欧激動の時代をプレイできるし
それだけでなく世界中の国で遊べるし、MODも非常に豊富でいつまでも飽きることはない。
初めは歴史なんてサッパリだったからオーストリアをプロテスタントにしたりもしたけど、
歴史を知ってる部分はより楽しくプレイできるというのに気づいた。
しかし1419年より前のことがイマイチよくわからなかった。
そもそも神聖ローマ帝国やらビザンティン帝国とはどういうものだったのか?
イスラム教国はなぜこんなにも広大な版図を築いているのか?
そんなわけで最近は世界史に少し興味を覚えたけども
学校教育であまりいい思い出がなくどうしたものかと先延ばしに。
1-1 数々の法則性を持つ世界史
数学や物理と違って人為的な事象はバラバラすぎて覚えるのも苦痛
そう思っていた時期が僕にもありました。
ウィリアム・H・マクニールの『世界史』を読んでその思いは変わった。
高文明が周囲に与える影響、定住民と遊牧民の対立、戦争に勝利し定住化した遊牧民の成り行き、
世俗と聖職・王と貴族の権力バランス、遊牧民の移動連鎖、各中国王朝の末路、などなど、
似た様なことが何度も起きていると書かれている。
また、地理的な要因というものも深く関わってくる。
「銃・病原菌・鉄」というこれまた非常に面白い本で詳しく書かれていることだが、
東西に広い大陸、発達した農耕用作物、豊富な家畜、船を使いやすい河川といった
初期条件も文明の発達と密接な関係を持っている。
これらのことから、沢山の変数を関数に放りこむような感覚で
歴史は進んでいったのだと始めて感じることができた。
或る文明の影響が影響が徐々に広がっていく様子は格子点での流体計算にも似ている。
もちろん細かく学んでいくとまた違うのだろうけど、大局的に見て法則性が見いだせるというのは
なかなかに理系的な要素でもある。
まるでアシモフの作品に出てくる心理歴史学が実在するのではないかという錯覚も覚えてしまうほどだ。
学校教育では断片を押し付けられた記憶しかないが、
きちんと流れを持っていることを意識すれば(当たり前なのだが)把握するのも容易になる。
分かってくれば楽しむこともできる、それはどんなことにでも当て嵌まるが、
歴史というものもそれに当てはまるということを知ることができて良かった。
世界史が嫌いなあなたにもオススメの名著、ウィリアム・H・マクニールの『世界史』。