最後のあたりは特に好きです
1890文字
1 はじめに
前回に引き続き、同人18禁ゲーム「ひまわり」の感想を綴ります。
興味のない方は手早く旅立ったほうが懸命です。
もちろんネタバレしまくるんで。
2 目次
1 はじめに
2 目次
3 最後のルートは必要だった
4 この物語の中心は
5 隠された存在
6 完全なる敗北
7 勝利の可能性が示された
8 逆転勝利
9 以上を考えて感想
10 おわりに
3 最後のルートは必要だった
最後のルートがなくては
この物語は身内の関係だけで終わっていました。
宇宙などと壮大なものを語りつつ
十人ほどの関係者だけで物語が閉じてしまうのは
とても寂しいな、と
最後のルートの途中までは思っていました。
なので最後に全人類の未来まで関わってきて
主人公も大きなものに対峙していくことになり
非常に快く感じました。
5年後の話でも
何か大きなものがまだまだ待ち受けていると
わかって、とてもワクワクしました。
それまで秋桜に物語上で全く存在価値がなかったのも
最後のどんでん返しのためだったんですね。
続編を匂わせてると言う話がありますが
私はそうとは感じませんでした。
同じSFでもファウンデーションシリーズとかを例に
こういう終わり方は別に珍しくないんじゃないですかね。
余韻があり記憶に残る終わり方で
個人的には好感の持てる終わり方でした。
それだけではありません。
最後のルートは物語の中心のものを
ひとつの作品として完結させるために無くてはならなかったのです。
4 この物語の中心は
さて
その、物語の中心のものが何かというと
それはアクアでも、主人公でも、明でもなく
ルナ理論・ルナウィルスです。
作品全体として、挫折からの復活
という物語での王道パターンが
ルナ理論に見事に当てはめられていました。
科学としての勝利を謳っているのです。
詳しく説明するために、各ルートで
ルナ理論・ルナウィルスの状況を考えてみましょう。
5 隠された存在
1つ目のルートでは、まだ存在が明らかになっていません。
なので特に書くことはありません。
6 完全なる敗北
そして始めて現れる2つ目では
もっぱら悪役で、悲劇の源と描かれました。
この段階ではルナ理論など無かったほうが
よかったと思わされます。
このままでは科学の負けです。
そもそも科学の目的とは
「人類のためになることを為す」
に他なりません。
少なくとも、建前はそうしないと
研究資金が下りないので研究できません。
にもかかわらず、このように
悲劇しか生み出さないのでは敗北なのです。
7 勝利の可能性が示唆される
しかし3つ目から、徐々にそれが変わっていきます。
すでにウィルス感染者はほとんどおらず、
元々ヒロインたちは誕生前から関わっているので
ヒロインが救済されるならば当然のことなのですが。
そして3つ目の黒い子ではルナウィルスを撲滅し
これ以上の被害を防ぐことに成功します。
未来ではもう被害を出さないことが示されました。
3つ目の白い子では主人公一人を幸せにすることができました。
両親と恋人を奪ったルナ理論ですが、恋人だけは帰ってくるのです。
今まで悲劇しか生み出してこなかったルナ理論でしたが
ここで初めて人を幸福にしました。
重要なターニングポイントです。
8 逆転勝利
そして最後のルートでは、ルナ理論により
全人類を救える可能性が示されました。
しかもその可能性は決して低くないと示唆されています。
上記の科学の目的
「人類のためになることを為す」
から考えると
ルナ理論は、まさしく
最も科学らしく
最も素晴らしく
最も尊敬されるべき科学である
と言えるのです。
ルナ理論は死者だけでも500人以上の犠牲を生じた
「悲劇の源」で終わるのではなく
数だけで言えばその200万倍、100億人を救うことができる
「史上最高の科学」の称号を得ることができるのです。
9 以上を考えて感想
わたしが作中で最も興奮を覚えたのが
この可能性を示された場面です。
私も理系の端くれとして
科学の勝利を望まないはずがありません。
地球人口が100億に遠く及ばない現在でも
人口増加による問題は憂慮されてきています。
この問題をSFと絡めてよく考えていると思います。
科学により人類を救えることを示してくれた
最後のルートは本当に素晴らしいと思います。
以前書いたように、そこまで3つ目のルートで盛り上がれなかったので
最後のルートが好きな展開になって本当に良かったです。
なければ、ひまわりは私の中で「そこそこ」の出来で終わるところでした。
最後のルートがあって本当に良かった。
10 おわりに
「ひまわり」はおもしろい。それは間違いない。
で、今回書いたことを作者が本当に想定していたかは定かでなく
全く偶然の結果かも、とも思ってしまいます。
読者が深読みしすぎるというのはたまにあるようで。
作者が意識的に科学の勝利を描いてくれたのならより嬉しいです。
次は何やりましょうかね。久しぶりにニュースサイト関係で何かやりましょうか。