アクアをかわいがるために

3181文字

1 はじめに

 ここを読んでいるということは
 どこからかリンクを辿って、興味を持った上で来ていると思います。
 今回は同人ゲームに関して、と対象範囲がかなり狭いので
 そうではなく迷いこまれた方は、時間を失わぬうちに旅立ったほうが賢明かと。


 感想の性質上ネタバレは避けられませんので、
 どうかご容赦を。

2 前置き:本当にかわいいのか?

 確かにテキストの分量が他のヒロインとは段違いに多く
 作者もかなりお気に入りにしているはずです。

 同人ゲームソフト「ひまわり」
 サークルHPは以下。
 ぶらんくのーと HomePage


 その感想ですね。
 考えながら書いていたので
 他人が読むことを考慮しきれませんでした。
 自分でもかなり読みづらいですが
 整理する気も起きないので、
 読みづらいと思ったら素早く旅立つのが
 賢い判断かと。


 で、アクアは本当にかわいいのか。
 というのも、別に騒ぐほどかわいいとも思いませんでしたので。
 でも、あちこちで


 アクアかわいいよアクア


 が連呼されていたので
 見落としてる部分があるのかな、
 と思いまして。
 それで落ち着いて2回目のプレイしたところ
 なるほど、これは確かに
 かわいい、とでも言いたくなります。


 では、なぜ
 私は
 初回にそう思わなかったのか
 というのを考えました。


 原因を考えて対処すれば
 私もアクア教に入信できるはずです。

3 根本原因は個人的な問題だった

 面白いと言われているのも、プレイして納得。
 この作品は大好きになりました。


 登場人物たちに好感が持てますし
 事態の構造や世界設定にはうならされました。


 問題となったのは他の人から見れば些細なことで
 個人的な嗜好の問題だと思います。


 特に2つ目、3つ目のルートでそういうものが顕著でした。
 それは、プレイする上での姿勢であったり
 物語上で全く語る必要の無いことを気にしたり
 普通は理解しているはずのことが理解できなかったり。


 それらが複合作用したことによって
 本来は見えるはずのものが
 見えなくなってしまったのではないかと。
 では、次からは具体的な原因を挙げていきます。

4 感情移入しすぎではないか

 2つ目のルートは、けっこう分量があります。
 また、物語の根幹に大きく関わるので、
 どうしても話の流れに没頭しがちです。
 そうすると、一人称視点で話が進むので
 自然と主人公にプレイヤーが感情移入してしまいsます。


 しかし、集中するあまり視点主と自分を重ねすぎると、
 距離が近くなりすぎて、視点主を客観的に見づらくなってしまいます。


 自分をかわいがるのは相当にハイレベルな技巧なので
 そうなっては、は難しい。
 愛でる対象とするならば、
 自分から離しておかねばなりません。


 確かにアクア嬢の心情を把握する上で
 一人称視点というのは欠かせないものでしたが
 私にとっては、彼女を客観的に見るのが難しくなるほど
 距離を近づけすぎてしまいました。


 おそらく、私は人よりも感情移入の度合いが高いのでしょう。
 それがかわいさを感じられなかった一番の原因だと思います。
 さて次は、考えすぎに起因する原因を。

5 宇宙での生活に耐えられない

 宇宙での超長期生活は厳しそうです。
 元から宇宙にいる人ならいざ知らず
 地球の重力に縛られっぱなしの私には
 創作物の中とはいえ辛いものがありました。
 その原因は4つ考えられます。


 宇宙ステーションは、狭い。。
 地上に生きる我々にはなおさら。
 当然、背景画は全て壁に囲まれていてます。
 閉塞感からストレスを感じたかもしれません。


 また、暗い。
 地球の空はなぜ青いのか
 と疑問が出たことからもわかるように
 宇宙の空は真っ黒です。
 大気のように太陽光を反射・分散させるものがありません。
 なので地上に生きる我々には非常に暗く感じられます。
 太陽と室内灯では明るさが段違いですし。
 暗鬱さからストレスを感じたかもしれません。


 更には、暇。
 宇宙はまだ特別な場所。
 何もしないような者がいても無駄なだけです。
 ですが、作中では3人だけ異なります。
 普段何してるのか気になって仕方がありません。
 特に黒い子は心配です。
 部屋にはテレビと酒しかないし。
 テレビばかり見ていると言うわけでも
 昼間から酒を浴びていると言うわけでもない。
 でも普段は部屋にいるっぽいし。
 かなり暇を持て余しているはずです。
 倦怠感からストレスを感じたかもしれません。


 そして、寂しい。
 2つ目のルートで登場人物は6人。
 他のルートもそう多くはありません。
 しかしそれとは異なり、生活の中で出会うのがこの6人だけなのです。
 陽一君は、その気になれば近所で、学校で
 何百人と人と会うことができます。


 しかし、彼女は、生まれたときから、今までずっと
 片手で数えられる人たちとしか出会うことがないのです。
 確かに他にも職員がいますが
 彼女が顔と名前を一致させられるする人はいないようです。
 これは、あまりにも寂しい生活。
 孤独感からストレスを感じるかもしれません。


 宇宙の厳しさに、私は閾識化で私はストレスを感じていたようです。
 それによって、登場人物たちに愛情を注ぎきれなかったようです。
 この次は人生経験的な原因になります。

6 恋、してますか?


ようは、『ひまわり』は『初恋をどうやって乗り越えればいいのか?』という物語なんですよ。


「死んだ人はもう過去のことだろ……。
 いつまでも引きずっててもしょうがないだろうに。
 それを乗り越えて先に進まないとどうしようもないじゃない。
 こんなに若いのになんで過去に縛られてるんだこいつら」


 と、初めは考えてしまって少し醒めてしまいました。
 一番盛り上がるところなのに……。
 ストーリーを全く理解できてなかったわけですなw


 それで、上の引用にあるように初恋が大切な要素なんですね。
 思い返してみたら、ああなるほど、と思いました。
 私は初恋すらしたことがないのですが
 初プレイ時にその重要性に気が付かなかったのは
 それが原因かもしれません。
 頭ではそういうものがあると知っているのですが
 理解しきれませんでした。
 実際に初恋の失恋を乗り越えるの体験がないと
 彼らの行動原理が理解できないのかもしれません。


 まとめると
 若いころに初恋してた方がプレイした方が楽しめると思います。
 それも失恋していたほうがベネです。
 登場人物たちの心情がよくわかるはず、です。
 まぁ18歳未満プレイ禁止なので
 大抵の人は経験あると思いますがね。

7 おまけに超個人的な:2つ目のルート長い

 私は長いのが嫌いなので少し苦痛に感じました。


 いや、実際はそれほど長くはないのですが、
 体感的に余計に長く感じてしまったんです。


 とは言っても他のルートと比較しても
 そこそこの分量はあります。
 加えて過去の話は
 「未来が確定していて物語上の発展性が感じられない」
 のであまり好みではないのです。


 更に選択肢がないままメッセージを送るだけ
 なので作業に単調さを感じてしまいました。


 それらが実際の量より長く感じた理由です。



 スタッフロール流れはじめに到達したのが午前3時頃で
 夜明けまでに余裕で終わると思いきや
 全くそんなことはなかったぜ!
 ということになったのが一番の原因の気もしますが。

8 おわりに

 結論としては、
 視点の主だからといって客体と認識できる最低限の距離をとっておくこと。
 宇宙と地上の変化に慣れるか気にしないようにすること。
 失恋すること。


 大抵の人はそのまま楽しめるはずのですが
 私は以上の個人的な問題で損したようです。
 初プレイの印象をぬぐう事ができないので
 この作品の大切な部分を感じ取れなかったのは
 かなり残念です。
 けっこう悔しいですよ、コレは。


 ですが、作品自体はとても楽しめましたし
 自分の傾向(の一部)が知れたので
 やはり、この作品に出会えてよかったかな、と。


 さて、次回も続きます。
 今度は最後のルートについてですね。